犬は人と暮らす中で、短い言葉をたくさん覚えていきます。
特に「ごはん」「おやつ」「抱っこ」「お散歩」など、自分にとって嬉しい言葉は、早く覚えます。
一方で、長い文章を人間と同じように理解するのは難しいかもしれません。
でも、犬にはもうひとつ、とても優れた能力があります。
それは、大好きな家族の行動を毎日観察し、繰り返し見て覚えることで、その人の生活パターンを理解していくこと。
例えば、私の仕事終わり。
テトが小さかった頃は、キッチンに入ってこないようにフェンスを立てていました。
今では、私が仕事用手袋をはめるだけで「あ、これから仕事が始まるんだな」と分かるのか、自分からさっとハウスに入って待っています。
キッチンに入ってはいけないこともちゃんと理解していて、今ではフェンスもいりません。
不思議なのは、仕事が終わって片付けを始め、そろそろ終わるかなという頃になると、ハウスからトコトコと出てくること。
そして、もう終わるよね?という顔で、少し離れたところから私を見ています。
何が合図になっているのかは分かりません。
手袋を脱ぐ音なのか、シンクを洗い流す音なのか、それとも全部終わって手を洗い、タオルで手を拭く音なのか。
本人に聞いてみたいくらいですが、テトの中ではちゃんと仕事終わりの合図が分かっているのでしょう。
家のチャイムが鳴ると、誰かが来ることを察知して、自分からハウスに入ります。
知っている人なら出てくるけれど、工事業者さんや知らない人だと、ハウスの中から顔だけ出して様子をうかがっています。
ドライヤーで髪をセットしたり、お化粧を始めたりすると、もう出かけることが分かっているようで、そわそわし始めます。
着替えが始まると、今日は一緒に行くの?それともお留守番?という感じで、私の後を追いかけて歩きます。
そして私が髪を束ねるのを見ただけで、何かが始まることを察知するようで、私の足元から全く離れず、ソワソワしながらくっついてきます。
息子がまだ1歳か2歳くらいだった頃、私がご飯を作ろうと髪を束ねると、決まって大泣きすることがありました。
当時はなぜ泣くのか分からなかったのですが、後になって「どうしてママが髪を縛ると泣いちゃうの?」と聞いたら、
「お出かけしちゃうと思ったから」と言われたことがありました。
今のテトの姿が、あの頃の小さな息子と重なります。
髪を束ねるという、いつもとは違う小さな変化を感じ取って私の後を必死について歩く。
小さな体で、小さな頭で、いろんなことを覚えて、考えて、感じているんですよね。
そして、犬は人間の感情にもとても敏感です。
何十年も一緒に暮らしている家族でさえ、自分の気持ちを分かってもらうには、言葉にして伝えなければならないことがあります。
でも犬は、そんな言葉がなくても、嬉しい、悲しい、疲れた…そうした心の変化を敏感に受け取って、そっと寄り添ってくれる。
一緒に暮らして9年6ヶ月。
今では私より私のことわかっているんじゃないかな…。
皆さんの愛犬も、穴が開くほど顔を見つめ、立ち上がればその後を追い、キッチンに行けばキッチンへ、トイレに行けばトイレの前へ。
いつもあなたや家族の行動を見ていませんか?


